きらきらカーテン

一人の病気ヲタクの備忘録

雨男たちのクリスマス

26日の公演観てきました。
何気に初めての朗読劇だった。


カフェで繰り広げられるクリスマスに纏わる小話…なんですけど、初台DOORSという小さなライブハウスでやるからこそのあったかさっていうのがありましたね。
ギターの生演奏も、芝居を邪魔しない程度に飾る感じで心地よかった。

お話は四つあって、その内三つは匠馬さん演じる磯貝の空想。
平田さん演じる男手一つで子供を育てるサラリーマンのお話、大薮くん演じる既婚男と不倫している男の子の話、平田さん大薮くん二人が演じる独身男たちの話。
そして最後、現実のカフェでの匠馬さん演じる磯貝の話。
この構成がちょうどいいバランスでよかった。
全部現実っていうのもちょっと重苦しい気がするし、かといって全部空想だとリアリティがなくてつまらないもんね。
あとその空想もどこか現実に繋がっているのが最後の話でわかるんだけど、それもまたよかったな。
空想も現実も全部あたたかい話で、心があったかくなりました。
最初は「クリスマス早くない?」って思ってたけど、なんか見終わった後は久々にクリスマスが待ち遠しくなった。


・平田さん
くたびれたサラリーマン似合うな~。
笑うと顔がくしゃってなるタイプに分類されると思うんですけど、それのおかげか余計似合ってた。
前彼を見たのは遠い夏のゴッホだったので結構やんちゃというか一匹狼みたいなおらついた役だったんですけど、今回は子育てに奔走する父親だったりももクロが好きな独身男だったりしたので、演技の振り幅がかなり大きいなって思いました。
そういやTRUMPでもクールな臥萬里おじさんと長崎弁ピエトロの演じ分けすごいな!と思ったわ。

大薮くんと二人でももクロ歌うシーンがあるんだけど、あの時のはしゃぎっぷり(?)よかったな。
大薮くんに「二番サビはぼくに!」ってサインする仕草とかが可愛くて思わず笑ってしまった。


・アイルくん
ナンバカのイベントで見たことあるけど、改めてめっちゃスタイルいいな!?
カフェのウェイタースタイルがとても似合っていました。
物語が終わったあとに訪れる現実の世界でしかほぼ出てこないので出番は結構少ないけど、演じているキャラクターとアイルくん自身が強烈(誉めてるつもり)だったのでかなり存在感がありました。

舞台の最初にアイルくんが出てくるんだけど、ギターの方にするサインや話し出しってアドリブだったのね。
26日17時の回、開口一番「外国(ヨーロッパ?)でのサンタは日本でのなまはげと同意義」っていうよくわからないトリビアを披露したのは笑ってしまった。

欲を言えばもっと見たかったな~!
彼が主人公になる空想の物語も見たかった。


・大薮くん
この中では唯一はじめましての人だった。
お名前もこれで知ったのでほんとに無知で申し訳ないんですけど、あっ演技上手いな~いいなぁって思いました。
平田さん主人公のサラリーマンのお話で、主人公の息子(五歳)を演じていてすごく可愛かった。
サンタさんのプレゼントで駄々こねるんだけど、も~それが可愛いんですよね。
大薮くん演じる息子のためならいくらでも奔走するよって感じ。

あと彼が主人公を演じる二話目、嫁と子供が待ってるからっていう男に最初はわがまま言っちゃうんだけど、最後は(配達のバイトサンタを巻き込みながら)笑顔で送り出してあげるっていう姿、切ないけどいじらしかったな。
その次の話(二人の独身男の話)で突然ももクロ歌い出した時はびっくりしたけど。
さすがテニミュ出身者というか、歌上手いな。
そういやこのカンパニー、何気にテニミュ出身者多いな…?


・匠馬さん
推しなので最後に。
最近はいつも主人公を支える立場で舞台に立っていたので、ストーリーテラーの役がある意味新鮮でした。

彼が演じる磯貝の空想という体で3つの物語が繰り広げられるため匠馬さんはほぼ舞台にいるんですけど、他の人たちが演じている間メニュー(台本)に目を落としている姿がすごく似合っているなって思いました。
なんていうか、大人の男って感じで…ってすごく上から目線だな?

ストーリーテラーの他に空想物語に出てくるモブ(店員とか)もやるんだけどすごいコミカルで、磯貝の時は結構静かに語ってる反動もあってか面白かった。
やっぱり演じ分けってすごいな。

匠馬さん、声優やってることもあってか滑舌も良くてとても聞きやすいから、またこういった朗読劇に出てほしいな~。
聞いてて心地いいし。
それにストレス無しで台詞が聞けるひとって本当に貴重な存在だと思う。
それに何より演技が好きだから、また早く舞台での演技が見たいなって改めて思いました。
次は桃山だ~!正直不安だけど!



都合で二回しか観られなかったけど、もう一回観たかったなって思えるとてもいい朗読劇でした。
また朗読劇行ってみたいな~。

ヲタクにとって環境は大事という話

実家住みのヲタクって、親の理解がないと難しそうなイメージがある。
遠征が必要な地方は特にそうだと思います。
ということで実家住みのヲタクです。話題に乗っかります。


親になんて伝える? - 推しをちゃんと推せるように


もうバラしてます。
俳優の名前まではバラしてないけど、片方の推しが俳優とか声優やっててもう片方の推しK-POPだよくらいは言ってる。
名前を言っても絶対覚えないしな。


ちなみに親はヲタクごとにかなり理解があります。
自分でもめちゃくちゃ恵まれている環境にいると思う。
ということで簡単に両親の話↓


◆母
・もはや恐れ多すぎてヲタクとは呼べないくらい筋金入りの某作品の大ファン
・会社員時代はヅカヲタで、一作品につき十数公演観たことがあるらしい(果たしてこれは軽い方なのだろうか)


◆父
・色々と趣味が多くて未だに謎
・PC(ネット)系に結構詳しい
・出張やら東京赴任などのおかげである程度東京に詳しい
娘に甘い(重要)


母はヅカヲタのおかげで観劇自体は今でも好きなようなので、たまに誘ったりしています。
今度は関数ドミノ観に行くよ。
劇場も結構知っているので、はじめてのところだと教えてもらったり。

また、昔東京へ遠征したこともあるそうなので遠征への理解があります。
基本的に趣味にお金を惜しまない人なので、この舞台行きたいなーどうしようって言うとまず「後悔したくないなら行くべき」って返ってきます。


父も趣味に関してかなり寛容なので、基本的にとやかく言いません。
リビングにパンフレットを置いてたらいつの間にか読んでることもあるけどね。

父には交通手段の相談に乗ってもらうことが多いので、基本的に遠征時もそうじゃない時もどこに行くか伝えます。
あと社会人ながらなぜかまだ門限が存在していることもあり、どこに出掛けるかとか何時に帰るか、目的を言わなきゃ駄目なんです。
まあ門限って言っても理由を伝えたら延長してくれるガバガバなやつなんですけど。
なので気が楽です。たまに遅いときは迎えに行く!って怒られるんですけど。
でも最寄りまで歩きでも10分もかからないからね。


こんな感じかな。とても楽です。
ナメプすぎて参考にできないくらいなのでは…。
基本的に親が理解があるならヲタ活もしやすいと思います。
もちろん他の環境(仕事や住んでいるところ)も大事だけども…。
私は親の理解・地域まではクリアしてるんですけど何しろ仕事がクソなので、快適かつ円満なヲタクライフを送りたいものですね。

カバンの中身

今週のお題「カバンの中身」


遠征時の暇潰し記事にちょっと鞄のこと書いたけど、こういうの好きなのでまた書きます。


◆普段
仕事に行くときもそうじゃないとき基本的にはリュック。
圧倒的リュック派だったんだけど、最近はトートとかショルダーとかも使ってます。
特に今、リュック背負ってると暑いしね。
秋に向けて綺麗めのハンドバッグあたりがほしいです。

中身ですが
・携帯
AndroidXperiaです。

ウォークマン
ウォークマンないと死ぬ芸人。
好きなバンドと韓国の推しばっか聴いてる。

・財布
父の海外出張のお土産を使っています。
カードでパンパンです。音ゲーICカードとか突っ込んでるから……。

・定期
関西なのでSuicaではなくPITAPAです。
ケースは友人に「これキバっぽい!」という理由でもらったもの。
仮面ライダーキバ芸人です。

・眼鏡
眼鏡なので。
コンタクトに変えたいけど怖い。
この前友人を誘って観劇した時、友人のコンタクトに異変が起こるっていうことがあってから、観劇にはやっぱ眼鏡がいいかな~って思います。
でも接触やチェキ系にはコンタクトがいいよね…今度韓国の推し(け~ぽっぷ)のチェキがありそうだからコンタクトにしたい。

・ポーチ
誕生日に貰った、手作り市のがま口ポーチです。
中には絆創膏、目薬、胃薬、整腸剤にロキソニン、あぶらとり紙、ハンドクリーム。あとゴムとヘアピンかな。
薬はマストです…わかりやすくお腹が弱いタイプなので…。

あとリップ関係が三つ入ってます。
メイベリンの色づきリップとこれまたバンドグッズのUVカットリップ、それとマジョマジョの色が変わるやつ。
気分によって使い分けてる。

・化粧品
フェイスパウダーとチークくらいかな。
近場ならリップ以外持っていかないくらい。

ティッシュ、ハンカチ系
この季節だと+制汗シート。

・手帳
ミドリのMDノートダイアリー。

2018年版手帳|MDノート ダイアリー<文庫>(27585006)|ミドリオンラインストア

月のところは端に余白があるので、行きたい舞台のスケジュールや欲しいCD・DVDの発売日をメモしています。大変便利。
ウィークリー部分?というか日記的なやつも前書いてたんだけど、最近かなりサボってる。書きたいんだけどなぁ。

・モバイルバッテリー
持ち歩いてるけどそんなに使わない。
遠征時の時も書いたんだけど、好きなバンドのグッズです。
モバイルバッテリーがグッズとして出るとか最近ってすごいよな。


◆舞台の時
最近はショルダーバッグ+トートが多目かも。
ほぼ遠征の時の記事と被る。
上の普段時に以下のものが+です。

・チケットケース
前の記事で載せた剣豪将軍義輝のグッズと、あとベルばらkidsのやつを併用してます。
基本的にチケット関係のもの(新幹線の切符とかも)は全部義輝のとこに入れて、終わった舞台のチケットは一旦ベルばらkidsに入れる。
一回チケットを忘れたことがあって、その時は遠征じゃなかったし余裕もあったんで取りに帰れたんですけど、それが怖くて全部ぶっ込んで持ち歩いてます…無くしたら終わりなやつ。

・双眼鏡
表情を見たいため、前列の方でも双眼鏡を一応持っていきます。

・レターセット、文具、ファイル
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レターセットはシンプルイズザベストのです。
推しも30代だから大人しめのがいいかなって(?)
ペンはボールペン黒一択。
あと少しデコるためのシールやマスキングテープ。
ファイルはA4が入るものか、ハガキサイズの小さいミニファイルです。
A4はフライヤー入れられるし便利だよね。


◆遠征時に増えるの
基本的にリュックです。
上の観劇時のに+されます。

・充電器
新幹線でもヤコバでも。
遠征時はスマホ活用するので、モバイルバッテリーだけでは足りないんだよね。

・マスク
この前書いてなかったけど思えばいつもいれてる。
新幹線でもヤコバでもいる。

・メディキュット
ヤコバのみ。

ヘアアイロン
ヤコバのみ。
持っていく時と持っていかないときがある。コンパクトでもかさばるしね…。

・化粧水とかクレンジング
ヤコバのみ。
ヤコバ待ちのラウンジでば~って落とすので。

・交通手段のチケット
チケットケースにいれてます。

以前のエントリでも書きましたが、基本的に日帰りなのでリュックに突っ込むことが多いです。


次の遠征は10月予定です。
9月は何も現場がないけど、推しの舞台のチケット先行と韓国の推しのbox予約があるなのでお金はないんだな~。
10月は久々にヤコバで行って新幹線で帰ろうかなぁ。
帰りが新幹線だと、東京の大丸でお弁当買って食べられるから最高。大丸はいいぞ。(謎のステマ

6月、7月まとめ

ブログ三日坊主なのほんとどうにかならんかね>自分

 

◆剣豪将軍義輝後編

STORY

室町幕府第十三代将軍・足利義輝は、
幕府の威信を甦らせ戦乱を終焉させるために、
剣術を究めることを志し、剣聖・塚原卜伝から
奥儀「一ノ太刀」を伝授された。
その旅の道中、斎藤道三の導きにより、織田信長と出会う。

義輝を類いまれな大器と見た信長は、
松平元康(後の徳川家康)に同盟を持ち掛け、
自ら義輝の両輪となることを誓う。

すべては天下安泰に向かって動き出したように見えた。
しかし、それを阻止する梟雄が現れる。
その男の名は、松永弾正久秀
日本の歴史を揺るがす未曾有の事件が義輝を襲う!

友や仲間、愛しい人と共に、
戦国の世を流星の如く駆け抜けた剣豪将軍義輝!
ここに完結!

mottorekishi.com


前編は面白くねぇな(率直)と思ったんだけど、あれは主人公である義輝の成長を描いていてそれがピンチ→時が止まってモノローグみたいなのが出る→強くなるのワンパターンだったからだと思う。
後編は成長した義輝が逆に人間離れした何かを醸し出しててなかなか面白かったです。

っていうかそもそもそめさまが人間離れした美しさを持っている時点で人間離れをしているんだよな。
義輝の最期、本当に人間じゃないみたいだった。
「〇〇(刀の名前)、欲しゅうはないか?」って言いながら敵を斬っていく姿、最期なのに静かで厳かなんだもん。
切ないとか、悲しいとかそんなんじゃなくてもう神聖なものだった。
何かの儀式かと思うくらいだよ。

悲しかったのは、周暠と小四郎の最期だな。
親を目の前で奪われたショックで話せなくなってしまった小四郎が、言葉を戻すのが、弟みたいにかわいがってくれてこれから主となるはずだった周暠を目の前で死なせてしまったショックでっていうのマジで辛くないですか!?
「周暠さま、申し訳ありません…!」って言いながら自害する小四郎見たら涙止まらなくなったよ。
めちゃくちゃ良いふたりだなあって思ってたから、余計にショックだった。歴史シリーズで泣くとは思わなかった…。


そして鯉九郎と磯良の最後の斬り合い、めっちゃ熱くないですか!?
いやまあ推しという贔屓目はありますが。それを抜いても一番熱かった。
磯良を前にして「梅花殿との約束(共に生き延びること)…守れぬかもしれん」っていう覚悟の後、一回も梅花のことを口にしなかったんだけどたぶんその覚悟をした時点で梅花への想いを断ち切ったと思うんですよ。
梅花と両想い(本当は両片想い)だったけど、最後は将軍の剣術指南役として命を捧げてお守りするわけだし。
きっと梅花への想いを断ち切っていなかったら磯良に負けていただろうから、切ないもんだね…。
殺陣も迫力があって手に汗握る展開だったし、相討ちという結果が二人の死闘の激しさを物語ってる気がした。まさか推しの死ぬシーンが最前0ズレで見られるとは思わなかったけど。

見たら鯉九郎の株、絶対ダダ上がりですよ。ブロマイドも早々と売り切れてたもんね。
あと明智十兵衛の株もダダ上がりします。あんな主君思いのいい奴だったとは思わなかった。
義輝が死んだ後、弟で実質義輝を死に追いやった覚慶に刀を向けるんだけど、覚慶を斬らずに空を斬って静かに泣く十兵衛、めちゃくちゃかっこよかった。



遠い夏のゴッホ

STORY

誰も知らない小さな森。
土の中で暮らすユウダチゼミの幼虫ゴッホは、幸せの絶頂にいた。
幼馴染ベアトリーチェと、1年後の夏に地上に出てセミになり、本物の恋人になろうと約束したからだ。
ところが、ゴッホは自分が生まれた年を勘違いしていることに気が付いていなかった。
来年ではなく、今年の夏、彼は地上へ出て羽化をしなければならないのだ。
…絶望のなか、ただひとり地上へ出てセミになってしまうゴッホ
一度セミになってしまえば、彼がベアトリーチェに再会する方法は、来年の夏までに生き延びる以外にない。
果たして彼は冬を越えて、遠い夏にたどり着くことができるのか?

toinatsu-gogh.com


すごい優しい世界だなと思った。
確かに虫たちが背負う運命は人間から見たらめちゃくちゃ過酷だし切ないものかもしれない。
でも、あの世界にはやさしいあたたかいなにかが流れていたに違いない。と私は思います。


ホセなんだけど、かわいい上に残酷な正論をゴッホに突きつけるのがすごいよかった。
もう夏を越せないってベアトリーチェに伝えようとするのを止めるゴッホに、「じゃあ何て伝えればいい?待っとけって言えばいい?」って言うホセは至極当たり前なことを言ってて、まあつまり正論なわけなんだけど、やっぱりゴッホにとっては変えられない残酷な現実を突きつけてるんだよね。
でも嘘をつかずに「待っとけって言えばいいの?」って言うホセもひとつのやさしさだよなと思いながら見ていた。
何を言っているんだっていう話だけど、ホセは最高だなってことです。


あとアムンゼン、全然いいやつじゃないけどなんかそこがよかった。
最初のちょっと馬鹿っぽい感じと中盤~最後の切なさのギャップがいい。
前半は、めちゃくちゃかわいいじゃないですか。
宮下さんのスタスキーに「お前は…残念なイケメンだな!」とか「綺麗な目で見るな!」 とか言われてたの笑った。
確かにしょーまさんの目はめちゃくちゃ綺麗。
ちなみに一緒についてきてくれた友人は、「彫り深いけど外国の血入ってる?」って聞いてきました。
まあ確かに彫り深いから目が見えないときはあるけども。

そんな前半を見ているからか、最期老いて死を迎えるシーンはつらい。
そういや最期、ゴッホに着ていたベストを渡したのは死体の暗示では?っていうツイート結構見たんだけど、私ふつうに遺志のオマージュだと思っていた。
その発想はなかったからなるほどな~という感じ。
死体なら森に戻ってきて、他の虫を介してアムンゼンに戻るの、物語の中で提示された「森の養分となって生き続ける」方法にしっくりくるもん。
ベストを託した意味、なかなか気になる。正解はないのかもしれないけど。


あと、イワンとヘンリーの構造色コンビが好きです。特にヘンリー。名前が被るけど。
クワガタのアンドレイに「自分の色がわかんねーなんて意味わかんねえ」と笑われたとき、イワンは特に気にしてないんだけどヘンリーはちょっとムッとして顔が曇るんですよね。
「自分の色は何なんだろう」って気にして悩むヘンリー、今の若者が投影されててすごい好きです。
イワンが死んでしまったとき、イワンと仲が良かったと話しかけられて「僕たち、自分の色がわからない同士なだけなんです」って吐露するヘンリーと、シマシマグモのラングレンとの会話がすごい好きです。
ちょっとうろ覚えだけど。

「イワンくんの色、どう思う?」
「…きれいだと思います」
「君も、きれいだよ」

書いといて超うろ覚えなことに気付いたけど、こんな感じ。
仲間のイワンを失って、きっと自らも死んでいくであろうヘンリーにその言葉をかけるのってなんか素敵だなって。
最期の最後に悩んでいたことを肯定されたら、きっとなにか重みがとれただろうなあ。


ほかにもアリの3人組とかスタツキーの兄貴とかとか、みんな好きだった。
嫌いな登場人物がいないいい舞台だった。
最初にも書いたけど、どこかあたたかいものが流れてて、純粋に「好きだな」と思えた舞台でした。


最後にどうでもいいこと言うけど、該当俳優ファンのみんな、最初は「えっ、推しが虫に…?!」って思ったのかな。
わたしの推しことやまもとしょーまさんはNHKで毎週土曜日虫とか花になってるから特に何も感じなかった。
蝉ってなりきったこと絶対あるよなって反応だった。ある意味かなC。
なりきり!生きものむ~にゃん学園、毎週土曜日7時15分だよ!見てね! 

五月まとめ

六月ももう中旬だけど、五月行った舞台とライブまとめ。そんなにまとめるくらい多くもないけど下書きにあったからつい。



クロムモリブデン『空と雲とバラバラの奥様』

森の奥のそのまた奥に奥様の細道がありました。嫁ぎ嫁いだ花嫁が嫁いで驚愕!二人の旦那がお出迎え、他にも奥様いるじゃない、お妾さんもいるじゃない、姑さんも沢山いれば、女中も奴隷もてんこ盛り。バイトのような花嫁は、派遣妻になれるのか!正妻になれるのか!別れる時は分裂してもらいます!頭かくしてツノかくさず!ブキミなコトブキ!ウキウキコトブキ!何故人は嫁ぐのか!何故人は嫁を目指すのか!

www.crome.jp

なんじゃこりゃというタイトルと宣伝文だったけど、終わった後まずは「なんじゃこりゃ」となった。
で、ちょうど観劇のタイミングが同じだったフォロワーさんと話しながらゆっくり噛みしめていって、「ひょっとしてそうなのかな」という感じ。
岩瀬という大家族(実際は事件の加害者が被害者家族を召使/妻として吸収している)の物語。
二人の夫が四人の奥様(妻もしくは妾)と生活しているっていう奇妙なものなんだけど、それは岩瀬家やほかの家族をいろいろ裏で唆している外者の山野と妻に繋がっていくんだよね。
夫の一人である海彦は第一夫人を見ているのに、第一夫人であるテン(加害者の家族の娘)は彼を憎んで気がふれたふりをしつつ復讐をしようとしている。
山野は子供が産めず、そのことで気を病んで性格がバラバラになっていく(多重人格?)妻を繋ぎとめることができず、つい殺してしまう。
なんか似ているなあと思いました。
もしかして、この岩瀬家の奇妙な物語は山野の精神世界を描いていたのかもしれない。というのは考えすぎかな。

本当は加害者と被害者は逆の立場で、そのねじれがどんどん殺意と悪意を生んでいくんだけど、それは山野が心の中で産んでいた悪意と殺意両方と混じってどんどん膨らんでいく、それが怖かった。
最後第四夫人が産んだ赤ちゃんをみんなが抱っこし、高い高いをして山野が受け取ったときに彼は倒れてしまったんだけど。
その赤ちゃんは今までの殺意と悪意でできたもので、あまりに大きすぎてつぶされてしまったんだなあと解釈してます。
う~~ん、なんというかリドル・ストーリーというか…明確な終わりがなくて、バーン!と投げ出されてしまった。
そっちのほうが文章と文章に隙間があって考えやすいは考えやすいけど、あそこまで空白があるとちょっとわからなくなるな。
でも、なんだか好きです。


◇壱劇屋『新しい生活の提案』

「会社と家の往復の毎日、掃除して洗濯して日が暮れる、将来役立つか分からない学業とクラブ活動・・・日本の皆皆様、今の生活に飽き飽きしていませんか?壱劇屋はそんな皆皆様に新しい生活を提案いたします。今公演をご覧になった皆皆様には新しい生活が待っております。皆皆様のご来場を心よりお待ちしております。」
と書いてあるチラシを拾った。新しい生活の提案、と大きめのフォントで書かれてある。胡散臭い。だけれどもその胡散臭さに惹かれて行った場所は僕の住む町の市役所だった・・・。

ichigekiyaoffice.wixsite.com

壱劇屋はどんどんパントマイムがかっこよくなっていくなあ。
なんというか、どんどん洗練されていく感じ。

生活に不満を抱える主人公が色々な選択をしていくことでどんどん生活を新しく、そして奇妙にさせていくんだけど、その選択は今までの自分の生活からただ逃げ出そうとしているだけで、自分や家族たちと向き合おうとしていないだけなんだよね。
ただ今の状況から逃げ出そうとして、いろいろな選択をしてどんどん自分を窮地に追い込んでいく。
追い詰められて最後の最後にやっと自分と向き合うんだけど、本当の新しい生活っていうのはそうやって自分と向き合うことではじめて始まるんだろうな。
笑えつつぞっとする、手塚治虫藤子不二雄を彷彿とさせるブラックユーモアでした。*1

劇中では選択肢が登場するとき、主人公の前にカードが差し出されるんだけど、なんかCMでそういうのあったな…と思ったらオダギリジョーが出てた『ライフネット生命』だった。
どうやらそれをヒントに作られたものらしい。そう書いてました↓
壱劇屋『新しい生活の提案』 | ゲキオシ!|小劇場探求webマガジン


GRAPEVINE GRUESOME TWOSOME大阪
対バン初めてじゃん!と思ったけど、よくよく考えれば去年トライセラとのIN A LIFETIME行ったわ。
はじめましてのユニゾンさん。
事前に予習したおかげでほぼ全部「あっ、これこの曲だ!」って感じで楽しめました。
ずっと前にライブの田渕くんの可動域がすごい!みたいなツイート回ってきたけど、あの通りだった。めちゃくちゃ動く。
セットリストも<オリオンをなぞる><桜のあと(all quartet lead to the?)>や<シュガーソングとビターステップ>などのシングル曲を織り交ぜて、ユニゾン初心者にも安心のものだった。
最初が<エアリフルエイリアン>だったんだけど、まさか最初からそれでいくとは思わなかったからびっくりしたよね。
でも「この曲好きだな」って思ってたからうれしかった。

MCは斉藤くんがバインに対しての愛をぶつけててすごかった…強火だった…。
何度かバインと対バンしてるNICOに嫉妬してるのとかちょっとかわいかったけど、その後に田中に「いじけてる」とかなんとか言われてたのは爆笑しました。

バインさんは安定でした。あ、でも珍しく田中がよくしゃべっていた。
歌もめちゃくちゃ伸び伸びしてて、音も重厚感があってこれが20年のキャリアなんだなって思ったり。
バインも<ふれていたい>や<FLY>、あと<スロウ>とかのシングル曲が多かったな。
個人的にはバインを知るきっかけになった<豚の皿>が聴けて大満足だった。
ワンマンツアー神戸もチケット取ったので行きます。楽しみ~。

ECの締めに斉藤くんを呼んで<光について>を斉藤くんメインボーカルでやったのがもうすごいっていうか、贅沢な時間だったなって思う。
でも「昔の僕は「お前バインさんの歌聴きたいんだよ」ってたぶん思います」みたいなこと言ってたから、どんだけファンなんだよってちょっと笑いました。

*1:どっちかっていうと藤子不二雄かな

あなたの推しはどこから?

全然ブログ書いてねぇな!というところでようやく気付いたのですが、Twitterを5年以上やっているせいか、PCに向かって文章をしたためるということが大の苦手になっていました。
昔(というかジャニヲタ時代)はブログを書いていたんだけども。
ということで(?)最近ははてブロでお題に沿って書かれている記事をよくお見掛けするので、お題をお借りして書いてみたいなと思います。

お題「あなたの推しはどこから?私は○○から」


俳優さんの名前は?
山本匠馬さん。


その俳優さんを好きになってどのぐらい経った?
いつから好きなのかもはやわからないんですけど、1年と1か月は確実に経過しました。


どういうきっかけで好きになった?初めて知ったのは?
きっかけは2015年に上演された『TRUMP』です。
元々シリーズを好きになった翌年にタイミングよく再演(三度目)が発表されて、中でも特に好きだったラファエロは誰だ誰だと思っていたら匠馬さんがキャスティングされたのでした。
な~~んか見たことある名前だなと思って調べてみたら、高校生の時に観ていた『KAMEN RIDER DRAGON NIGHT*1の吹き替えをやっていたり、『ハピネスチャージプリキュア!』のブルー役だったり…俳優とは別のお仕事で知っていたっていう謎始まり。

匠馬さんのラファエロはめちゃくちゃ理想のラファエロって感じだったし、またリバースで演じているアンジェリコの知能の低さと狂気が紙一重の(ほめてない)演技もすばらしかったのですが。
OP(キャスパレ)のサビでターンする振りがあるんですけど、その時のターンがめちゃくちゃ綺麗だったことが一番のきっかけですね。
どういうきっかけだと思うかもしれないけど、きれいだったんだよ。


好きな作品とオススメの作品を教えて!
☆『仮面ライダーキバ
匠馬さんが演じているのは、登太牙というファンガイア*2の王です。
人間のライフエナジーを餌とするファンガイアの王なので「人間は家畜」発言とかしちゃうんですが、ぶっちゃけ人間を襲っている描写はないんですよね*3
悪く言えば敵の王なのにひどく甘く、善く言えばひどくやさしい。
色々と悲しい過去を持つため(実の親に育てられず、人間の元でモルモットのように見られながら育った)誰かの愛情を求めているそんな姿がつらいけど応援したくなる。
キバは結構不人気とかいうレッテルを貼られていますが、わたしは好きです。
ちなみに映画も白峰天斗という違う役で出演されています。


★『日付のないカレンダー』
五人という比較的少ない人数で行われる会話劇。ちょっと奇妙な話かも。
匠馬さんの役どころは主人公である廻カケル(演じているのは戸谷公人くん)の兄である廻アユムです。
このアユムが一癖も二癖もある役なんですけど、最初はとにかくかわいくて……でもストーリーが進むにつれ彼の謎と共にもう一つの彼の姿が明かされていくんですけど、その演じ分けは「豹変」という言葉が似合うなあと思います。
ネタバレにならないように言いたいけど、『陽と陰』って言えばいいかな…かなり癖はあるキャラクターだけど、その分匠馬さんの演技力を楽しめるものではないかと。

あとこれは舞台には珍しい分岐エンドです。DVDにはAエンド、Bエンド、Dエンドが収録されています。
アフタートークも二種類(一つはダイジェストだけど)収録されているので、ぜひぜひ!
トライフルの公式オンラインで販売されています。パンフレットもあるよ!↓
トライフル エンター テインメント 公式通販


☆『三人どころじゃない吉三』
去年夏に上演された少年社中さんの、歌舞伎『三人吉三』を題材にしたスペクタクル劇です。
匠馬さんは何といえばいいかわからないけど、とにかく物語のキーパーソンです。役名とかも公演まで伏せられてましたが、今はたぶん検索したら出てくると思います。
登場人物が勢ぞろいして踊り騒ぐOPに途中から乱入(?)してくるのですが、その殺陣がとにかく美しいです。
匠馬さんの殺陣は美しいっていう言葉がぴったりなんですよね。残念ながら吉三はそれ以降匠馬さんの殺陣はほぼないに等しいのですが、雪が降りしきる中の殺陣はとても見惚れてしまうほどだと思うので是非見てほしい。

多分今年にはDVDが出るんじゃないでしょうか。でも社中さんは舞台公演でしかDVD買えないイメージ…。
社中さんはとてもよい作品を作られる劇団さんなので、舞台を観に行くついでにDVDを購入してみては(社中さんのステマ


★『バンドやろうぜ!』
声のお仕事をされている匠馬さんを手っ取り早く知るには、ソシャゲが一番かな?フェアリーエイプリルのベース担当、徳田吉宗くんの声をされています。
結構匠馬さんはどこか思いつめていたり闇が潜んでいたりするキャラクターを演じられることが多い*4のですが、この吉宗くんはちょっとチャラいけど明るいムードメーカーです。
しかも高校一年なのにしっかりバイトなんてしちゃったりして、真面目な一面もあります。
稼働開始からずっとSSRカードが登場しなかったんですが、今やっているイベントで初めてSSRカードが出ました!おめでとう!出ないけど!
これを機に爆モテキャラクター徳田吉宗くんをよろしくお願いします!


どんなところが好きなの?
1.顔
めちゃくちゃ顔が好きなんです。本当に好きなんです。
まず、精悍な眉毛。少しだけ垂れている目。くっきりとした二重まぶた。しっかり通っている鼻筋に、口角が上がった唇。
もう最高じゃないですか?顔の一つ一つのパーツが美しすぎるんですよ。
なんかもうイケメンとか恰好いいとかじゃないくて美しいな~~と思います。彫刻とか見てる感じ。


2.声
演じ分けがすごい。低い声も出せるし、かわいい声(?)も出せる。
例えば今ネットで二期放映中の『ナンバカ』では四桜犬士郎役なんですが、その時の声はめちゃくちゃ低くてかっこいいんですね。
でも『奪還者』という映画でレイというキャラクターを演じたときはもうかわいいというかいじらしいんですよ。
主人公に媚びたり(?)するときの声とかもう庇護欲を掻き立てられるというか~!
例に挙げたどちらも声のお仕事ですが、俳優の時もまたしかりなのでぜひ声の演じ分けにも注目してみてください。


本当はもっとあるけど、これ以上言うとドン引きされそうな感じがするのでやめます。


応援してて良かったって思う時はある?
舞台などでで良い演技を見たとき。特にその作品が良かった場合はなおさらね!
といいつつ好きになってからの期間が浅いので、そんなに生で見たことがあるかって言えば申し訳ございませんってなるんですけど。
過去作品のDVDを集めていたりするんですが、その作品が好きだったときの「いいものを見せてもらった」っていう満足感は半端ないですよね。


好きな俳優さんにどんな役をやってもらいたい?
匠馬さんってお兄ちゃん役が非常に多いんですね。ぱっと思いつくだけでも5つ以上お兄ちゃん役をされていました。
だから弟役っていうのをやってほしいな~~。確かお姉さんがいらっしゃるので、本当は弟さんなんですよ。

あと、たまに(特にジャニオタの方で)「推しに殺人鬼とかの役やってほしい」って言ってる方をお見かけするんですが、まさにそれです!やってほしい!吹替ではやってるんですけどね!ただ見てないっていう。
めちゃくちゃ、それこそ性根から悪い悪役をやってほしいな~。
仮面ライダーキバ』の太牙とかは悲しいというか切ない悪役じゃないですか…悪になりきれない悪役って言えばいいかな?最終的に味方になるしね。


推し以外に好きな俳優(純粋に気になる、気が向いたら追ってる程度でOK)はいる?
『戦国★男士』で匠馬さんと相棒役(主従役なんですけど)をされていた鈴之助さんのアクションがかっこよくて好きです。
昔からニチアサを見ていたおかげでアクションに過敏になりました。『平成ライダージェネレーションズ』で悪役として出演されているのですが、とにかく生身アクションがすごい。足技がきれい。
あと戸谷公人くんも気になります。今は『ドリフェス!』で声優のお仕事もされていますね。
今や完全にドリフェスおばさんです。みんな風間圭吾に即位されよう。


あなたにとっての推しとは
生活の一部です!!更に言えば薬かな。

仕事とか学校とかあっても、推しが出る舞台のチケットとれば「その日まで頑張ろう」って気持ちになるし、その舞台見終わっても、それから「舞台の推しを思い出して頑張ろう」って気持ちになれます。
基本的に生活がその繰り返しなんですよ、仕事(学校)がんばる→推しの出てる作品(アニメとか舞台を生で/DVDで)見る→仕事がんばるみたいな。
日常で疲れた身体を癒すサプリメントみたいな感じでしょうか…えらく高いサプリメントだな。


最後にその俳優さんのことを軽くプレゼン
実は友人に匠馬さんのよさについて一万字越えのレポート*5を書いたことがあるので、それを見てくれ!と思うのですがさすがに載せられないですね。
そのため『三人どころじゃない吉三』のパンフレットで、少年社中さんに所属されている山川ありそさんが匠馬さんの魅力を描写した言葉が好きなので引用します*6

誰もが羨む声。誰もが羨む容姿。そして誰もが羨む少しの毒っけ。*7

これを読んだとき「わかる~~!!」と足をじたばたさせたものですが、こんなこと共演者の方に言われる役者さんなんてそうそういないのではないでしょうか?
女性だけではなく、男性をも魅了してしまう匠馬さん、ぜひ一度彼が出演されている作品を見てみてはいかがでしょう。
長くなってしまいましたが、お付き合いありがとうございました。

*1:仮面ライダー龍騎』の北米版です

*2:キバにおける怪人です

*3:部下に始末を命じているため間接的には襲っていることになるんだろうけおd

*4:個人的な意見です

*5:文字数を言うとみんなにドン引きされる

*6:問題があればすぐに消します

*7:『三人どころじゃない吉三』パンフレットp23より

オフブロードウェイミュージカル『bare』

なんだかうまくまとまらなくて、この時期までかかってしまいました。
まだ全然まとまらないけど、とりあえずあげておく。

STORY

全寮制のセント・セシリア高校。
校長でもある神父の言葉が響くミサでは、卒業を間近に控えた生徒たちが祈りを捧げている。
平凡な生徒ピーターにはある秘密があった。それは、学校一の人気者であるジェイソンという同性の恋人がいること。
いつかは自らを―bare—さらけ出し、愛し合いたいと強く願っていた。
学内の演劇公演のためのオーディションがシスター・シャンテルによって開催され、
美しいアイヴィ、ジェイソンの双子で皮肉屋のナディア、主役を狙うマットも参加し、配役が決定する。
リハーサルが開始されると、ピーターの気持ちはより強いものとなっていく。
ドラッグと酒でトリップするパーティーの中、
気持ちが募るピーターはジェイソンとキスを交わすが、それをマットに目撃されてしまう。
社会、親、友人の目を怖れるジェイソンは自身のイメージを守るため、
ピーターを突き放しアイヴィと一線を越えてしまうのだった。
-bare—になることを求めた彼らの心が絡み合い、そしてついに、一つの終焉を迎える・・・

www.raisestage.com


ひたすら胸が苦しかった。
歌で畳みかけられるこどもたちの叫び。
さらけ出すことで救いを求めようとしたのに大人たちはそれを突き離す。
キリスト教って私は隣人愛や「皆に仕える者になれ」とか謳っているイメージなんですが*1、それは他人と生きる世界において有効なのであって、学校という狭い社会で、しかも自分の世界でしか生きていないこどもたちにはそれが理解できるわけがないんだよ。

少年少女たちは<bare>「さらけ出す」ことで何かにすがるものが欲しかったのかな。
でもさらけ出す方法が見つからなかったのか、アルコールやドラッグしか方法がなかった。
でもピーターの母親はさらけ出すことを許そうとはしない。神すらも赦しを与えようとはしない。
自分たちのしたいことと、それに対する大人の反応が観ててつらいなあ。

でもただ一人、ジェイソンは反対にさらけ出すのを拒んでる。
それは彼の信念とか、そういうものがあったんだと思う。
父親からの期待とか今の立ち位置とか、そういうものからくる信念。
それに応えたくて、ジェイソンはピーターよりアイヴィを選んだのに、結果その信念はぐっちゃぐちゃに壊されてしまうんだよな~あれ辛すぎる。
しかも信念がぐちゃぐちゃになって、壊れそうになって(いやそのときすでに壊れてたかも)、すがった相手の神父はジェイソンを拒んでしまった。
最後の最後にすがったのは神だったのに、神はゆるしてくれなかった。

ピーターがすがったのは神ではなくマリアさまで。えらくファンキーで面白いマリアさまだったけど。
マリアさま=シスターみたいなものだけど、彼女は神父とは反対にピーターを理解してくれた。
この違いってなんなのかな? 同じ聖職者なのに。
たぶん一番の理由は彼女が人種差別を受けていた黒人だったからなんだろうけど。
ここで人種問題も出てくるから観ていてわからなくなってしまったし、今でも整理はついてない。

日本では昔から衆道があったし、歴史を見ると比較的同性愛の類には寛容なのかもしれない。
でも一方で同性婚は未だほとんどのところで認められないから、何だかあまりにも複雑な問題だなあって思いました。寛容なのか寛容じゃないのか。
クリスチャンだとか、普段身近に宗教を感じていない私たちにはちんぷんかんぷんだし。

ただ、宗教ってなんのためにあるんだろうなあって感じてしまった。
宗教の視点からどうして同性愛が禁じられなければいけないのか。
神ってなんのためにいて、なんのために崇められているのか。
神って私たちの罪をゆるしてくれる存在だと過信していたけれど(それは作中の人物たちも思っていたのではないかな)、ジェイソンを許そうとはしなかったから。
すごく神が、この場合だとキリスト教の神なんだけど、それがとても怖いと思ってしまった。

唐突ですが、わたしはプロテスタント系大学で聖歌を歌う団体に入っています。
神への賛美を歌うことに対して今までただなにも考えずにいたけれど、少しばかり…じゃなくてだいぶ賛歌を歌うことが怖くなってしまった。
でも、なにも考えずに歌うより神って何なんだろうって考えるきっかけができてとてもよかったと思います。


ジェイソン/岡田亮輔
最初はおうスパダリやな!!って思いながら見てたんですけど、どんどん彼を覆っているガラスに「優等生」「期待」というナイフが次々突き刺さっていって…。
そのナイフを抜くこともできずに、ピーターに背中を向けてアイヴィとの行為に走ってしまう。
許されないことではあるけれど、ジェイソンの立場や気持ちも痛いくらい理解できるから、理解はできる。許されはしないけど。

ジェイソンが死んでしまったのは不安・絶望からの自身の逃亡のほかに、さらけ出すことへの代償ということもあったのかなと思います。
この代償はだれか個人じゃなくて全員の代償ね。ピーターやジェイソン、アイヴィやマットがさらけ出した、その代償。

鯨井さんのジェイソンを観ていないから何とも言えないけど、少なくとも岡田さんのジェイソンは自分の意志で死のうとしたのだと思った。
表情が晴れやかというかなんというか、なんの後悔もなさそうな表情をしてたから…オーバードーズで死に至ることをわかって薬を服用したんだなって思う。
死ぬために薬を服用した、みたいな。

ピーター/橋本真一
正直本当に役者みなさんに対しての前知識が無い状態でいったんだけど、橋本くんのピーターはかわいい!
そして、切なく甘い歌声でかわいいピーターがそこにいた。
それでも心は恐ろしく純粋なのにどこか芯の通った部分があって、この子は強いなと感じた。
最後の神父に向かっての「あなたを赦します」と静かに告げるシーンとかそうだな。
ジェイソンを殺したのは救いの手を伸ばさなかった神父と考えてもおかしくないのに、ピーターは赦した。
赦すことは決してたやすくない。それでも赦した彼には強い炎が灯っていた。

そういやどうでもいいけど、キリスト教の主の祈りの一節である「われらに罪をおかす者をわれらがゆるすごとく、われらの罪をもゆるしたまえ。」を思い出したなあ。
彼はやっぱりキリスト教徒なんだなあって思ったりもして。

アイヴィ/皆本麻帆
皆本さんが本当にきれいだった!
妖艶(言葉がうまく見つからない)でちょっぴりチャーミング、そしてちょっと小悪魔的な雰囲気を醸し出してた。
でも中身は大人になることを誰より恐れている子供で。
それはジェイソンとの行為でさらけ出すことになってしまうんだけど、その感情の発露が苦しかった。
最初のみんなを翻弄してそうな大人っぽい雰囲気から、そのおびえる子供の差というのがはっきりしていてよかったな。

自分の容姿をうらやむナディアとの衝突は、理解できるはずなのに理解できない二人っていう感じで見ていてもやもやしていたけれど、最後の卒業式のシーンではなんとなく、その衝突を乗り越えたんじゃないかなって思った。もうこれどっちかっていうと妄想だけどさ。
きっと卒業式の彼女はおびえていた大人への道に一歩、踏み出せたんだろう。

ナディア/あべみずほ
憎めないキャラだな~。
たぶんジェイソンとずっと一緒にいたから、彼の一番の理解者なんだと思う。
ピーターは彼のことをヒーロー視している節があるし、ジェイソンのことは好きだけど彼のことを考えているということはあまりなさそうな印象を受けた。
そういやふつう自分と比較される対象って嫌いになることが多いじゃないですか。
でもナディアは本当にジェイソンのことが大好きなんだってひしひし感じた(ピーターとの関係が周囲にバレたところとか)
それはお互いがお互いのことを一番理解しているからなんだろうね。
特に絶望しているジェイソンに「夜になったら電話して。ううん、夜じゃなくてもいいからいつでも電話して」と言うシーンでは、あっこの子しか今のジェイソンはわかってやれないんだと思った。
でもジェイソンは彼女の手を掴まなかった、といのはあのラストに至る一つの要因だったのでは。

いつも比較されていた、そして一番理解していたされたいた、そんな関係のジェイソンが死んでしまって、ナディアのこれからはどうなるんだろう。

マット/染谷洸太
ほんと!!!マットがどんまいキャラ(軽く言うけど)すぎてさ!!
いつも二番手で、アイヴィにさえ振り向いてもらえない。
去っていく彼女をただ立ち尽くして見るマットの目が悲しすぎて、切なすぎて辛い。
彼がジェイソンとピーターの秘密を知ってから物語は大きく変わるんですけど、その波に揉まれながらも主役にはなれないマットは痛々しいなあと。
あのエンドでマットはどうなってしまうんだろう。
アイヴィやナディアは想像がつくというか、こうであってほしいという願いがあるんだけどマットの未来がわたしにはなにも見えない。



そういえば、ミュージカルではあったけどナンバーがすごい多くてどっちかっていうとロックオペラみたいな感じだったな。
でもそれが彼らの感情をこっちにより届けていたと感じます。
歌はなにより人々の心を揺さぶるものだから、彼らの叫びは観客の中に時にはすっと水が中に浸透していくように、時にはぐさぐさと突き刺さるように届いたのではないでしょうか。

*1:すごい偏見だと思う