きらきらカーテン

一人の病気ヲタクの備忘録

関数ドミノ/真壁薫という人物とは?

関数ドミノ、兵庫公演千秋楽観に行きました。
めちゃくちゃネタバレしているのでご注意ください。
先にネタバレでもどうでもない感想を書いておくと、千秋楽だったので最後のカーテンコールで紙吹雪が舞ってきたんですが何故か超大量でキャストの皆さんにドバーッ!ってかかってたのが超面白かったです。


STORY

とある都市で、奇妙な交通事故が起きる。
信号のない横断歩道を渡る歩行者・田宮尚偉(池岡亮介)のもとに、速度も落とさず車がカーブしてきた。
しかし車は田宮の数センチ手前で、あたかも透明な壁に衝突したかのように大破する。
田宮は無傷、運転手の新田直樹(鈴木裕樹)は軽傷で済むが、助手席に座っていた女性は重傷を負ってしまう。
目撃者は真壁薫(瀬戸康史)と友人の秋山景杜(小島藤子)、左門森魚(柄本時生)の3人。
事後処理を担当する保険調査員・横道赤彦(勝村政信)はこの不可解な事故に手を焼き、関係者を集めて検証を始める。
すると真壁が、ある仮説を立てるのだった。
その調査はやがて、HIV患者・土呂弘光(山田悠介)、作家を目指す学生・平岡泉(八幡みゆき)、真壁の主治医・大野琴葉(千葉雅子)をも巻き込んでいく。
はじめは荒唐無稽なものと思われた仮説だったが、それを裏付けるような不思議な出来事が彼らの周りで起こり始める――。

kansu-domino.westage.jp


真壁の仮説とは、森魚がドミノで事故の瞬間「田宮が助かるように」と願ったからだというもの。
ドミノとは本心で思ったことが現実に起きてしまう(ただしそれは期間があるため期間限定の神なのである)存在。
そしてその周りはドミノの犠牲になるかのように調整されていくということ。

事故の目撃者である森魚はそのドミノなのだという仮説を立て、真壁はエイズ感染者の土呂を送って実験をしていく。
破天荒な仮説だけど、数々の真壁の演説によりそれはなんとなく現実味を帯びてくる。
けれど真壁の主治医である大野が言うドミノ幻想(ドミノという存在を立て現実逃避をする)という考えも立てられ、ドミノは本当にあるのかどうか客席はどんどん翻弄されていき、そのハラハラ感が面白かった。

「治って欲しい」と森魚に思って欲しいとせがむことで土呂のHIVウイルスは消え、森魚はいよいよ本当にドミノであるかのように思えてくる。
でも結局ドミノは森魚ではなく、森魚がドミノであるようにと信じていた真壁自身がドミノだった(余談だけど、結構このオチは最初の方から読めたかも)。
願っていた、また信じていたものはとても近くに、むしろ自分にあった。
でも劇中にもあった通り、彼は今まで何かするに当たってどこかで諦めていた。
だから今まで気づかず、そこに偶然起きた事故で森魚という人物にドミノの可能性を見出だし、彼がドミノであるようにと信じたから森魚がドミノであるような出来事が起こってしまった。


最後、ドミノであることを信じられず錯乱する真壁により傷つき倒れた秋山のことを、ドミノで救えるのか救えないのかわからずじまいに幕は閉じてしまう。
劇中の人物は、真壁により最初受け入れなかったドミノという存在を受け入れやがて信じるようになった。
でも、最後になってその真壁がドミノを受け入れられなかった。
今まではドミノという存在によってネガティブな存在な自分をドミノの犠牲になった自分として肯定していたからではないか。
その存在だった自分が正反対のドミノになってしまったのだから、今までの自分が崩れ去ったようなものなのかもしれない。

きっと、ドミノということに気づいてしまってもその事実を受け入れられなかったらあのまま秋山のことは救えないだろう。
そして、もしかしたらドミノを受け入れられない時点で真壁はドミノではなくなるのではないだろうか。
この話で大切だったのは信じること、受け入れること。そして諦めないことだったように思う。
そして、どれもできず諦めてしまうなら真壁は最後の最後で本当のネガティブな存在になってしまうのだろう。
真壁はドミノという存在でもあり、ある種ドミノの被害者でもあると言ってもいいかもしれない。


「大切なのは信じること」現実にも通じる教訓のようなシンプルなそれを、SFの世界でかなりおもしろく表現されていました。
ちょっとゲスいけど自分をドミノの犠牲者として逃避する揺らぎのある真壁がそこにいて、瀬戸くんってすごい役者だなぁって思った。
あと、柄本さん演じる森魚のどこか飄々とした感じがまさに無自覚の「期間限定の神」のようでとてもはまり役だった。
あと山田くんの土呂。
森魚にエイズが治って欲しいと思うことを詰め寄るシーンは物凄く迫力があって、「狂信的」という言葉が合っていた。
その他のキャストさんもそれぞれのキャラクターに合っていて、かなり満足した舞台でした。

2014年版は2009年版、そして2017年版と違って救いがないらしいけどそれも観てみたいなぁ。
また再演があれば行きたいかも。
あと、他のイキウメ作品も観てみたい。

雨男たちのクリスマス

26日の公演観てきました。
何気に初めての朗読劇だった。


カフェで繰り広げられるクリスマスに纏わる小話…なんですけど、初台DOORSという小さなライブハウスでやるからこそのあったかさっていうのがありましたね。
ギターの生演奏も、芝居を邪魔しない程度に飾る感じで心地よかった。

お話は四つあって、その内三つは匠馬さん演じる磯貝の空想。
平田さん演じる男手一つで子供を育てるサラリーマンのお話、大薮くん演じる既婚男と不倫している男の子の話、平田さん大薮くん二人が演じる独身男たちの話。
そして最後、現実のカフェでの匠馬さん演じる磯貝の話。
この構成がちょうどいいバランスでよかった。
全部現実っていうのもちょっと重苦しい気がするし、かといって全部空想だとリアリティがなくてつまらないもんね。
あとその空想もどこか現実に繋がっているのが最後の話でわかるんだけど、それもまたよかったな。
空想も現実も全部あたたかい話で、心があったかくなりました。
最初は「クリスマス早くない?」って思ってたけど、なんか見終わった後は久々にクリスマスが待ち遠しくなった。


・平田さん
くたびれたサラリーマン似合うな~。
笑うと顔がくしゃってなるタイプに分類されると思うんですけど、それのおかげか余計似合ってた。
前彼を見たのは遠い夏のゴッホだったので結構やんちゃというか一匹狼みたいなおらついた役だったんですけど、今回は子育てに奔走する父親だったりももクロが好きな独身男だったりしたので、演技の振り幅がかなり大きいなって思いました。
そういやTRUMPでもクールな臥萬里おじさんと長崎弁ピエトロの演じ分けすごいな!と思ったわ。

大薮くんと二人でももクロ歌うシーンがあるんだけど、あの時のはしゃぎっぷり(?)よかったな。
大薮くんに「二番サビはぼくに!」ってサインする仕草とかが可愛くて思わず笑ってしまった。


・アイルくん
ナンバカのイベントで見たことあるけど、改めてめっちゃスタイルいいな!?
カフェのウェイタースタイルがとても似合っていました。
物語が終わったあとに訪れる現実の世界でしかほぼ出てこないので出番は結構少ないけど、演じているキャラクターとアイルくん自身が強烈(誉めてるつもり)だったのでかなり存在感がありました。

舞台の最初にアイルくんが出てくるんだけど、ギターの方にするサインや話し出しってアドリブだったのね。
26日17時の回、開口一番「外国(ヨーロッパ?)でのサンタは日本でのなまはげと同意義」っていうよくわからないトリビアを披露したのは笑ってしまった。

欲を言えばもっと見たかったな~!
彼が主人公になる空想の物語も見たかった。


・大薮くん
この中では唯一はじめましての人だった。
お名前もこれで知ったのでほんとに無知で申し訳ないんですけど、あっ演技上手いな~いいなぁって思いました。
平田さん主人公のサラリーマンのお話で、主人公の息子(五歳)を演じていてすごく可愛かった。
サンタさんのプレゼントで駄々こねるんだけど、も~それが可愛いんですよね。
大薮くん演じる息子のためならいくらでも奔走するよって感じ。

あと彼が主人公を演じる二話目、嫁と子供が待ってるからっていう男に最初はわがまま言っちゃうんだけど、最後は(配達のバイトサンタを巻き込みながら)笑顔で送り出してあげるっていう姿、切ないけどいじらしかったな。
その次の話(二人の独身男の話)で突然ももクロ歌い出した時はびっくりしたけど。
さすがテニミュ出身者というか、歌上手いな。
そういやこのカンパニー、何気にテニミュ出身者多いな…?


・匠馬さん
推しなので最後に。
最近はいつも主人公を支える立場で舞台に立っていたので、ストーリーテラーの役がある意味新鮮でした。

彼が演じる磯貝の空想という体で3つの物語が繰り広げられるため匠馬さんはほぼ舞台にいるんですけど、他の人たちが演じている間メニュー(台本)に目を落としている姿がすごく似合っているなって思いました。
なんていうか、大人の男って感じで…ってすごく上から目線だな?

ストーリーテラーの他に空想物語に出てくるモブ(店員とか)もやるんだけどすごいコミカルで、磯貝の時は結構静かに語ってる反動もあってか面白かった。
やっぱり演じ分けってすごいな。

匠馬さん、声優やってることもあってか滑舌も良くてとても聞きやすいから、またこういった朗読劇に出てほしいな~。
聞いてて心地いいし。
それにストレス無しで台詞が聞けるひとって本当に貴重な存在だと思う。
それに何より演技が好きだから、また早く舞台での演技が見たいなって改めて思いました。
次は桃山だ~!正直不安だけど!



都合で二回しか観られなかったけど、もう一回観たかったなって思えるとてもいい朗読劇でした。
また朗読劇行ってみたいな~。

6月、7月まとめ

ブログ三日坊主なのほんとどうにかならんかね>自分

 

◆剣豪将軍義輝後編

STORY

室町幕府第十三代将軍・足利義輝は、
幕府の威信を甦らせ戦乱を終焉させるために、
剣術を究めることを志し、剣聖・塚原卜伝から
奥儀「一ノ太刀」を伝授された。
その旅の道中、斎藤道三の導きにより、織田信長と出会う。

義輝を類いまれな大器と見た信長は、
松平元康(後の徳川家康)に同盟を持ち掛け、
自ら義輝の両輪となることを誓う。

すべては天下安泰に向かって動き出したように見えた。
しかし、それを阻止する梟雄が現れる。
その男の名は、松永弾正久秀
日本の歴史を揺るがす未曾有の事件が義輝を襲う!

友や仲間、愛しい人と共に、
戦国の世を流星の如く駆け抜けた剣豪将軍義輝!
ここに完結!

mottorekishi.com


前編は面白くねぇな(率直)と思ったんだけど、あれは主人公である義輝の成長を描いていてそれがピンチ→時が止まってモノローグみたいなのが出る→強くなるのワンパターンだったからだと思う。
後編は成長した義輝が逆に人間離れした何かを醸し出しててなかなか面白かったです。

っていうかそもそもそめさまが人間離れした美しさを持っている時点で人間離れをしているんだよな。
義輝の最期、本当に人間じゃないみたいだった。
「〇〇(刀の名前)、欲しゅうはないか?」って言いながら敵を斬っていく姿、最期なのに静かで厳かなんだもん。
切ないとか、悲しいとかそんなんじゃなくてもう神聖なものだった。
何かの儀式かと思うくらいだよ。

悲しかったのは、周暠と小四郎の最期だな。
親を目の前で奪われたショックで話せなくなってしまった小四郎が、言葉を戻すのが、弟みたいにかわいがってくれてこれから主となるはずだった周暠を目の前で死なせてしまったショックでっていうのマジで辛くないですか!?
「周暠さま、申し訳ありません…!」って言いながら自害する小四郎見たら涙止まらなくなったよ。
めちゃくちゃ良いふたりだなあって思ってたから、余計にショックだった。歴史シリーズで泣くとは思わなかった…。


そして鯉九郎と磯良の最後の斬り合い、めっちゃ熱くないですか!?
いやまあ推しという贔屓目はありますが。それを抜いても一番熱かった。
磯良を前にして「梅花殿との約束(共に生き延びること)…守れぬかもしれん」っていう覚悟の後、一回も梅花のことを口にしなかったんだけどたぶんその覚悟をした時点で梅花への想いを断ち切ったと思うんですよ。
梅花と両想い(本当は両片想い)だったけど、最後は将軍の剣術指南役として命を捧げてお守りするわけだし。
きっと梅花への想いを断ち切っていなかったら磯良に負けていただろうから、切ないもんだね…。
殺陣も迫力があって手に汗握る展開だったし、相討ちという結果が二人の死闘の激しさを物語ってる気がした。まさか推しの死ぬシーンが最前0ズレで見られるとは思わなかったけど。

見たら鯉九郎の株、絶対ダダ上がりですよ。ブロマイドも早々と売り切れてたもんね。
あと明智十兵衛の株もダダ上がりします。あんな主君思いのいい奴だったとは思わなかった。
義輝が死んだ後、弟で実質義輝を死に追いやった覚慶に刀を向けるんだけど、覚慶を斬らずに空を斬って静かに泣く十兵衛、めちゃくちゃかっこよかった。



遠い夏のゴッホ

STORY

誰も知らない小さな森。
土の中で暮らすユウダチゼミの幼虫ゴッホは、幸せの絶頂にいた。
幼馴染ベアトリーチェと、1年後の夏に地上に出てセミになり、本物の恋人になろうと約束したからだ。
ところが、ゴッホは自分が生まれた年を勘違いしていることに気が付いていなかった。
来年ではなく、今年の夏、彼は地上へ出て羽化をしなければならないのだ。
…絶望のなか、ただひとり地上へ出てセミになってしまうゴッホ
一度セミになってしまえば、彼がベアトリーチェに再会する方法は、来年の夏までに生き延びる以外にない。
果たして彼は冬を越えて、遠い夏にたどり着くことができるのか?

toinatsu-gogh.com


すごい優しい世界だなと思った。
確かに虫たちが背負う運命は人間から見たらめちゃくちゃ過酷だし切ないものかもしれない。
でも、あの世界にはやさしいあたたかいなにかが流れていたに違いない。と私は思います。


ホセなんだけど、かわいい上に残酷な正論をゴッホに突きつけるのがすごいよかった。
もう夏を越せないってベアトリーチェに伝えようとするのを止めるゴッホに、「じゃあ何て伝えればいい?待っとけって言えばいい?」って言うホセは至極当たり前なことを言ってて、まあつまり正論なわけなんだけど、やっぱりゴッホにとっては変えられない残酷な現実を突きつけてるんだよね。
でも嘘をつかずに「待っとけって言えばいいの?」って言うホセもひとつのやさしさだよなと思いながら見ていた。
何を言っているんだっていう話だけど、ホセは最高だなってことです。


あとアムンゼン、全然いいやつじゃないけどなんかそこがよかった。
最初のちょっと馬鹿っぽい感じと中盤~最後の切なさのギャップがいい。
前半は、めちゃくちゃかわいいじゃないですか。
宮下さんのスタスキーに「お前は…残念なイケメンだな!」とか「綺麗な目で見るな!」 とか言われてたの笑った。
確かにしょーまさんの目はめちゃくちゃ綺麗。
ちなみに一緒についてきてくれた友人は、「彫り深いけど外国の血入ってる?」って聞いてきました。
まあ確かに彫り深いから目が見えないときはあるけども。

そんな前半を見ているからか、最期老いて死を迎えるシーンはつらい。
そういや最期、ゴッホに着ていたベストを渡したのは死体の暗示では?っていうツイート結構見たんだけど、私ふつうに遺志のオマージュだと思っていた。
その発想はなかったからなるほどな~という感じ。
死体なら森に戻ってきて、他の虫を介してアムンゼンに戻るの、物語の中で提示された「森の養分となって生き続ける」方法にしっくりくるもん。
ベストを託した意味、なかなか気になる。正解はないのかもしれないけど。


あと、イワンとヘンリーの構造色コンビが好きです。特にヘンリー。名前が被るけど。
クワガタのアンドレイに「自分の色がわかんねーなんて意味わかんねえ」と笑われたとき、イワンは特に気にしてないんだけどヘンリーはちょっとムッとして顔が曇るんですよね。
「自分の色は何なんだろう」って気にして悩むヘンリー、今の若者が投影されててすごい好きです。
イワンが死んでしまったとき、イワンと仲が良かったと話しかけられて「僕たち、自分の色がわからない同士なだけなんです」って吐露するヘンリーと、シマシマグモのラングレンとの会話がすごい好きです。
ちょっとうろ覚えだけど。

「イワンくんの色、どう思う?」
「…きれいだと思います」
「君も、きれいだよ」

書いといて超うろ覚えなことに気付いたけど、こんな感じ。
仲間のイワンを失って、きっと自らも死んでいくであろうヘンリーにその言葉をかけるのってなんか素敵だなって。
最期の最後に悩んでいたことを肯定されたら、きっとなにか重みがとれただろうなあ。


ほかにもアリの3人組とかスタツキーの兄貴とかとか、みんな好きだった。
嫌いな登場人物がいないいい舞台だった。
最初にも書いたけど、どこかあたたかいものが流れてて、純粋に「好きだな」と思えた舞台でした。


最後にどうでもいいこと言うけど、該当俳優ファンのみんな、最初は「えっ、推しが虫に…?!」って思ったのかな。
わたしの推しことやまもとしょーまさんはNHKで毎週土曜日虫とか花になってるから特に何も感じなかった。
蝉ってなりきったこと絶対あるよなって反応だった。ある意味かなC。
なりきり!生きものむ~にゃん学園、毎週土曜日7時15分だよ!見てね! 

五月まとめ

六月ももう中旬だけど、五月行った舞台とライブまとめ。そんなにまとめるくらい多くもないけど下書きにあったからつい。



クロムモリブデン『空と雲とバラバラの奥様』

森の奥のそのまた奥に奥様の細道がありました。嫁ぎ嫁いだ花嫁が嫁いで驚愕!二人の旦那がお出迎え、他にも奥様いるじゃない、お妾さんもいるじゃない、姑さんも沢山いれば、女中も奴隷もてんこ盛り。バイトのような花嫁は、派遣妻になれるのか!正妻になれるのか!別れる時は分裂してもらいます!頭かくしてツノかくさず!ブキミなコトブキ!ウキウキコトブキ!何故人は嫁ぐのか!何故人は嫁を目指すのか!

www.crome.jp

なんじゃこりゃというタイトルと宣伝文だったけど、終わった後まずは「なんじゃこりゃ」となった。
で、ちょうど観劇のタイミングが同じだったフォロワーさんと話しながらゆっくり噛みしめていって、「ひょっとしてそうなのかな」という感じ。
岩瀬という大家族(実際は事件の加害者が被害者家族を召使/妻として吸収している)の物語。
二人の夫が四人の奥様(妻もしくは妾)と生活しているっていう奇妙なものなんだけど、それは岩瀬家やほかの家族をいろいろ裏で唆している外者の山野と妻に繋がっていくんだよね。
夫の一人である海彦は第一夫人を見ているのに、第一夫人であるテン(加害者の家族の娘)は彼を憎んで気がふれたふりをしつつ復讐をしようとしている。
山野は子供が産めず、そのことで気を病んで性格がバラバラになっていく(多重人格?)妻を繋ぎとめることができず、つい殺してしまう。
なんか似ているなあと思いました。
もしかして、この岩瀬家の奇妙な物語は山野の精神世界を描いていたのかもしれない。というのは考えすぎかな。

本当は加害者と被害者は逆の立場で、そのねじれがどんどん殺意と悪意を生んでいくんだけど、それは山野が心の中で産んでいた悪意と殺意両方と混じってどんどん膨らんでいく、それが怖かった。
最後第四夫人が産んだ赤ちゃんをみんなが抱っこし、高い高いをして山野が受け取ったときに彼は倒れてしまったんだけど。
その赤ちゃんは今までの殺意と悪意でできたもので、あまりに大きすぎてつぶされてしまったんだなあと解釈してます。
う~~ん、なんというかリドル・ストーリーというか…明確な終わりがなくて、バーン!と投げ出されてしまった。
そっちのほうが文章と文章に隙間があって考えやすいは考えやすいけど、あそこまで空白があるとちょっとわからなくなるな。
でも、なんだか好きです。


◇壱劇屋『新しい生活の提案』

「会社と家の往復の毎日、掃除して洗濯して日が暮れる、将来役立つか分からない学業とクラブ活動・・・日本の皆皆様、今の生活に飽き飽きしていませんか?壱劇屋はそんな皆皆様に新しい生活を提案いたします。今公演をご覧になった皆皆様には新しい生活が待っております。皆皆様のご来場を心よりお待ちしております。」
と書いてあるチラシを拾った。新しい生活の提案、と大きめのフォントで書かれてある。胡散臭い。だけれどもその胡散臭さに惹かれて行った場所は僕の住む町の市役所だった・・・。

ichigekiyaoffice.wixsite.com

壱劇屋はどんどんパントマイムがかっこよくなっていくなあ。
なんというか、どんどん洗練されていく感じ。

生活に不満を抱える主人公が色々な選択をしていくことでどんどん生活を新しく、そして奇妙にさせていくんだけど、その選択は今までの自分の生活からただ逃げ出そうとしているだけで、自分や家族たちと向き合おうとしていないだけなんだよね。
ただ今の状況から逃げ出そうとして、いろいろな選択をしてどんどん自分を窮地に追い込んでいく。
追い詰められて最後の最後にやっと自分と向き合うんだけど、本当の新しい生活っていうのはそうやって自分と向き合うことではじめて始まるんだろうな。
笑えつつぞっとする、手塚治虫藤子不二雄を彷彿とさせるブラックユーモアでした。*1

劇中では選択肢が登場するとき、主人公の前にカードが差し出されるんだけど、なんかCMでそういうのあったな…と思ったらオダギリジョーが出てた『ライフネット生命』だった。
どうやらそれをヒントに作られたものらしい。そう書いてました↓
壱劇屋『新しい生活の提案』 | ゲキオシ!|小劇場探求webマガジン


GRAPEVINE GRUESOME TWOSOME大阪
対バン初めてじゃん!と思ったけど、よくよく考えれば去年トライセラとのIN A LIFETIME行ったわ。
はじめましてのユニゾンさん。
事前に予習したおかげでほぼ全部「あっ、これこの曲だ!」って感じで楽しめました。
ずっと前にライブの田渕くんの可動域がすごい!みたいなツイート回ってきたけど、あの通りだった。めちゃくちゃ動く。
セットリストも<オリオンをなぞる><桜のあと(all quartet lead to the?)>や<シュガーソングとビターステップ>などのシングル曲を織り交ぜて、ユニゾン初心者にも安心のものだった。
最初が<エアリフルエイリアン>だったんだけど、まさか最初からそれでいくとは思わなかったからびっくりしたよね。
でも「この曲好きだな」って思ってたからうれしかった。

MCは斉藤くんがバインに対しての愛をぶつけててすごかった…強火だった…。
何度かバインと対バンしてるNICOに嫉妬してるのとかちょっとかわいかったけど、その後に田中に「いじけてる」とかなんとか言われてたのは爆笑しました。

バインさんは安定でした。あ、でも珍しく田中がよくしゃべっていた。
歌もめちゃくちゃ伸び伸びしてて、音も重厚感があってこれが20年のキャリアなんだなって思ったり。
バインも<ふれていたい>や<FLY>、あと<スロウ>とかのシングル曲が多かったな。
個人的にはバインを知るきっかけになった<豚の皿>が聴けて大満足だった。
ワンマンツアー神戸もチケット取ったので行きます。楽しみ~。

ECの締めに斉藤くんを呼んで<光について>を斉藤くんメインボーカルでやったのがもうすごいっていうか、贅沢な時間だったなって思う。
でも「昔の僕は「お前バインさんの歌聴きたいんだよ」ってたぶん思います」みたいなこと言ってたから、どんだけファンなんだよってちょっと笑いました。

*1:どっちかっていうと藤子不二雄かな

オフブロードウェイミュージカル『bare』

なんだかうまくまとまらなくて、この時期までかかってしまいました。
まだ全然まとまらないけど、とりあえずあげておく。

STORY

全寮制のセント・セシリア高校。
校長でもある神父の言葉が響くミサでは、卒業を間近に控えた生徒たちが祈りを捧げている。
平凡な生徒ピーターにはある秘密があった。それは、学校一の人気者であるジェイソンという同性の恋人がいること。
いつかは自らを―bare—さらけ出し、愛し合いたいと強く願っていた。
学内の演劇公演のためのオーディションがシスター・シャンテルによって開催され、
美しいアイヴィ、ジェイソンの双子で皮肉屋のナディア、主役を狙うマットも参加し、配役が決定する。
リハーサルが開始されると、ピーターの気持ちはより強いものとなっていく。
ドラッグと酒でトリップするパーティーの中、
気持ちが募るピーターはジェイソンとキスを交わすが、それをマットに目撃されてしまう。
社会、親、友人の目を怖れるジェイソンは自身のイメージを守るため、
ピーターを突き放しアイヴィと一線を越えてしまうのだった。
-bare—になることを求めた彼らの心が絡み合い、そしてついに、一つの終焉を迎える・・・

www.raisestage.com


ひたすら胸が苦しかった。
歌で畳みかけられるこどもたちの叫び。
さらけ出すことで救いを求めようとしたのに大人たちはそれを突き離す。
キリスト教って私は隣人愛や「皆に仕える者になれ」とか謳っているイメージなんですが*1、それは他人と生きる世界において有効なのであって、学校という狭い社会で、しかも自分の世界でしか生きていないこどもたちにはそれが理解できるわけがないんだよ。

少年少女たちは<bare>「さらけ出す」ことで何かにすがるものが欲しかったのかな。
でもさらけ出す方法が見つからなかったのか、アルコールやドラッグしか方法がなかった。
でもピーターの母親はさらけ出すことを許そうとはしない。神すらも赦しを与えようとはしない。
自分たちのしたいことと、それに対する大人の反応が観ててつらいなあ。

でもただ一人、ジェイソンは反対にさらけ出すのを拒んでる。
それは彼の信念とか、そういうものがあったんだと思う。
父親からの期待とか今の立ち位置とか、そういうものからくる信念。
それに応えたくて、ジェイソンはピーターよりアイヴィを選んだのに、結果その信念はぐっちゃぐちゃに壊されてしまうんだよな~あれ辛すぎる。
しかも信念がぐちゃぐちゃになって、壊れそうになって(いやそのときすでに壊れてたかも)、すがった相手の神父はジェイソンを拒んでしまった。
最後の最後にすがったのは神だったのに、神はゆるしてくれなかった。

ピーターがすがったのは神ではなくマリアさまで。えらくファンキーで面白いマリアさまだったけど。
マリアさま=シスターみたいなものだけど、彼女は神父とは反対にピーターを理解してくれた。
この違いってなんなのかな? 同じ聖職者なのに。
たぶん一番の理由は彼女が人種差別を受けていた黒人だったからなんだろうけど。
ここで人種問題も出てくるから観ていてわからなくなってしまったし、今でも整理はついてない。

日本では昔から衆道があったし、歴史を見ると比較的同性愛の類には寛容なのかもしれない。
でも一方で同性婚は未だほとんどのところで認められないから、何だかあまりにも複雑な問題だなあって思いました。寛容なのか寛容じゃないのか。
クリスチャンだとか、普段身近に宗教を感じていない私たちにはちんぷんかんぷんだし。

ただ、宗教ってなんのためにあるんだろうなあって感じてしまった。
宗教の視点からどうして同性愛が禁じられなければいけないのか。
神ってなんのためにいて、なんのために崇められているのか。
神って私たちの罪をゆるしてくれる存在だと過信していたけれど(それは作中の人物たちも思っていたのではないかな)、ジェイソンを許そうとはしなかったから。
すごく神が、この場合だとキリスト教の神なんだけど、それがとても怖いと思ってしまった。

唐突ですが、わたしはプロテスタント系大学で聖歌を歌う団体に入っています。
神への賛美を歌うことに対して今までただなにも考えずにいたけれど、少しばかり…じゃなくてだいぶ賛歌を歌うことが怖くなってしまった。
でも、なにも考えずに歌うより神って何なんだろうって考えるきっかけができてとてもよかったと思います。


ジェイソン/岡田亮輔
最初はおうスパダリやな!!って思いながら見てたんですけど、どんどん彼を覆っているガラスに「優等生」「期待」というナイフが次々突き刺さっていって…。
そのナイフを抜くこともできずに、ピーターに背中を向けてアイヴィとの行為に走ってしまう。
許されないことではあるけれど、ジェイソンの立場や気持ちも痛いくらい理解できるから、理解はできる。許されはしないけど。

ジェイソンが死んでしまったのは不安・絶望からの自身の逃亡のほかに、さらけ出すことへの代償ということもあったのかなと思います。
この代償はだれか個人じゃなくて全員の代償ね。ピーターやジェイソン、アイヴィやマットがさらけ出した、その代償。

鯨井さんのジェイソンを観ていないから何とも言えないけど、少なくとも岡田さんのジェイソンは自分の意志で死のうとしたのだと思った。
表情が晴れやかというかなんというか、なんの後悔もなさそうな表情をしてたから…オーバードーズで死に至ることをわかって薬を服用したんだなって思う。
死ぬために薬を服用した、みたいな。

ピーター/橋本真一
正直本当に役者みなさんに対しての前知識が無い状態でいったんだけど、橋本くんのピーターはかわいい!
そして、切なく甘い歌声でかわいいピーターがそこにいた。
それでも心は恐ろしく純粋なのにどこか芯の通った部分があって、この子は強いなと感じた。
最後の神父に向かっての「あなたを赦します」と静かに告げるシーンとかそうだな。
ジェイソンを殺したのは救いの手を伸ばさなかった神父と考えてもおかしくないのに、ピーターは赦した。
赦すことは決してたやすくない。それでも赦した彼には強い炎が灯っていた。

そういやどうでもいいけど、キリスト教の主の祈りの一節である「われらに罪をおかす者をわれらがゆるすごとく、われらの罪をもゆるしたまえ。」を思い出したなあ。
彼はやっぱりキリスト教徒なんだなあって思ったりもして。

アイヴィ/皆本麻帆
皆本さんが本当にきれいだった!
妖艶(言葉がうまく見つからない)でちょっぴりチャーミング、そしてちょっと小悪魔的な雰囲気を醸し出してた。
でも中身は大人になることを誰より恐れている子供で。
それはジェイソンとの行為でさらけ出すことになってしまうんだけど、その感情の発露が苦しかった。
最初のみんなを翻弄してそうな大人っぽい雰囲気から、そのおびえる子供の差というのがはっきりしていてよかったな。

自分の容姿をうらやむナディアとの衝突は、理解できるはずなのに理解できない二人っていう感じで見ていてもやもやしていたけれど、最後の卒業式のシーンではなんとなく、その衝突を乗り越えたんじゃないかなって思った。もうこれどっちかっていうと妄想だけどさ。
きっと卒業式の彼女はおびえていた大人への道に一歩、踏み出せたんだろう。

ナディア/あべみずほ
憎めないキャラだな~。
たぶんジェイソンとずっと一緒にいたから、彼の一番の理解者なんだと思う。
ピーターは彼のことをヒーロー視している節があるし、ジェイソンのことは好きだけど彼のことを考えているということはあまりなさそうな印象を受けた。
そういやふつう自分と比較される対象って嫌いになることが多いじゃないですか。
でもナディアは本当にジェイソンのことが大好きなんだってひしひし感じた(ピーターとの関係が周囲にバレたところとか)
それはお互いがお互いのことを一番理解しているからなんだろうね。
特に絶望しているジェイソンに「夜になったら電話して。ううん、夜じゃなくてもいいからいつでも電話して」と言うシーンでは、あっこの子しか今のジェイソンはわかってやれないんだと思った。
でもジェイソンは彼女の手を掴まなかった、といのはあのラストに至る一つの要因だったのでは。

いつも比較されていた、そして一番理解していたされたいた、そんな関係のジェイソンが死んでしまって、ナディアのこれからはどうなるんだろう。

マット/染谷洸太
ほんと!!!マットがどんまいキャラ(軽く言うけど)すぎてさ!!
いつも二番手で、アイヴィにさえ振り向いてもらえない。
去っていく彼女をただ立ち尽くして見るマットの目が悲しすぎて、切なすぎて辛い。
彼がジェイソンとピーターの秘密を知ってから物語は大きく変わるんですけど、その波に揉まれながらも主役にはなれないマットは痛々しいなあと。
あのエンドでマットはどうなってしまうんだろう。
アイヴィやナディアは想像がつくというか、こうであってほしいという願いがあるんだけどマットの未来がわたしにはなにも見えない。



そういえば、ミュージカルではあったけどナンバーがすごい多くてどっちかっていうとロックオペラみたいな感じだったな。
でもそれが彼らの感情をこっちにより届けていたと感じます。
歌はなにより人々の心を揺さぶるものだから、彼らの叫びは観客の中に時にはすっと水が中に浸透していくように、時にはぐさぐさと突き刺さるように届いたのではないでしょうか。

*1:すごい偏見だと思う

つかこうへい七回忌特別公演 新・幕末純情伝

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友人に誘われたので大千秋楽に行ってきました。
何だか幅広い客層だったな~。
松井玲奈ファンはもちろん、若手俳優たちのファンとみられる女の子やつか作品が好きなんだろうなって人まで。

STORY

徳川260年の泰平の世が、今まさに崩壊せんとしている文久3年。
武士になりたい一身で、京都への道を急ぐ一群の男達がいる。
近藤勇率いる、新撰組
その隊士の中に「女」がいた。沖田総司
小さい頃から男として育てられ、
ただひたすら剣の修行を強いられてきた孤独な女――。
風雲急を告げる、時は幕末。
勤皇、佐幕が入り乱れる動乱の京の街で、
総司は愛する土方歳三のため、
一人、また一人と勤皇の志士たちを斬り続ける。
そして、そんな総司の前に、一人の男が立ちふさがった。
その男こそ、日本に新しい時代をもたらす男。土佐の龍、坂本龍馬――。
裏切りと憎悪渦巻く暗黒の時代、
総司と土方、そして龍馬の胸を焦がす、熱い恋の行方とは?
そして、勝海舟桂小五郎・・・ 幕末の若き志士たちが夢見た、
新しい時代の夜明けとは?

bakumatsu2016.com


いかにもつかこうへいって感じだな~って作品だった。
いうて熱海しか観たことないし、戯曲も『熱海~』と『ロマンス』、それに『広島に原爆が落ちた日』くらいしか読んでないけど。

音響かな?マイクかな?声が広がりすぎて、台詞を聞き取れない場面が何か所か(主に叫ぶところ)。
梅田芸術劇場のメインホールってかなり広いと思うんですが、それが仇となったのかしら~と思いつつ。
三階の一列目で観劇したから余計聞こえなかったのかな?
でも全部の客席まで台詞を届けなければいけないでしょう…なにがいけないのかっていうわけではなく色々な問題があるのかもしれないけど、音響にちょっと問題があるのかな?
言えば言うほど知識が無いのがばれるのでもうやめます(すでにばれている)

あと、その音響に加えJ-POPをバックに流すことが多々あって、そっちの音に気をとられることもしばしば。
役者が台詞をしゃべっているなか、歌詞があるJ-POPをバックミュージックにするのはなかなか難しい。二つの言葉が殺しあってるみたいで。
っていうか途中にいきなりポケ○ンやら、TMさんの歌で踊ったりする演出がよくわかんなかった。おいてけぼりにされて。
『夕陽伝』のときは突然の笑いの挿入にびびったけど、今回は笑いの挿入はそれより自然?だったと思う。
ただその曲の演出は唐突すぎて理解できなかった。やっぱりこの人の演出は合わないのかも。



松井玲奈/沖田総司
松井玲奈ちゃん以外は男野郎ばっかなのに、そのカンパニーの中で堂々と演技していてかっこよかったなあと。
ラストのクライマックスシーン、幕が下りる瞬間まで、すごくいい表情をしてた。
死にゆかんとしているのに、坂本へ笑いかけてるような気がして。
死ぬことでやっと二人は素直に愛し合うことができたのかなあって。

石田明/坂本竜馬
やっぱりアドリブは面白い。彼の頭の回転の速さが生かされた役なんだと思う。
味方くんがアドリブで微妙に滑ったというか結構追い込まれた次の場面で、彼のこといじりつつフォローしてたのよかったな。
あんまり俳優としての彼を知らなかったけれど、なかなかよい役者さんでした。めっちゃ上から。

細貝圭/土方歳三
最初に謝罪しておくと、わたし結構ひとの顔覚えるの早いんだけど細貝くんに限ってはまったく覚えられない。申し訳ない。
総司のこと大切にしてるんだな~って序盤では思ってたのに、最後にいくにつれてその見せかけのやさしさが剥がれて彼の本心が次々にあらわになっていく、その過程が迫力あった。

早乙女友貴/岡田以蔵
正直彼の殺陣を観るために今回2500円払った。あとの約3300円は荒井敦史の悪役を観るため。
やっぱり身のこなしが軽やかで、鮮やか。以蔵ってちょい薄汚い役どころかなって思ってたけど、きれいだなって思った。
最初『TRUMP』で観たときは少し滑舌が気になったけど、今回はそんなに気にならなかったな。

味方良介/桂小五郎
アドリブに弱いらしいのに客席巻き込んだアドリブ頑張っててほほえましかったです。
なんだっけ、ちょうど一日前くらいかな?にゲストで出てた『ママ僕』ネタでいじられたときは「頑張れ…」って思った。
あとテニスネタで笑われないみたいなこと結構Twitterで見かけたけど、大千秋楽だからかまあまあ笑いとってたような。
本心を突かれた際に見せる、目をカッと見開いたその表情にゾクゾクした。
なんか、根はいいんだろうなっていう悪役だった。悪役になりきれない善人。

荒井敦史/勝海舟
『GARANTIDO』の山田昇から思ってたけど、荒井敦史の悪役はいい。
狂いかけてる笑みやら悪いことたくらんでる笑みを作るのがうまい、と思ってる。
桂は根はいい悪役だけど、勝は根も悪そうだったな。
「総司のことを女として~」みたいなこと言う場面あったけど、いうてそんなに愛してなさそうな感じなのがまたよかった。
この中だったら荒井さん贔屓しちゃって申し訳ないけど。

久保田創/近藤勇
ジョルジュの~!ギャグセレクション~!!
非常に安定感がありました。石田明とはまた違った安定感。
久保田さんがいるだけで場がきゅっとなるっていうか。


役者一人ひとりの熱量はものすごくよかったので、「音」に関することが残念でならない。

キャラメルボックス featuring D-BOYS また逢おうと竜馬は言った

今年はなるべく観劇したものを残すって言いながら全然してないわ!!!!!
ということで初めましてのキャラメルボックスさん。


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STORY

ツアーコンダクターのくせに、すぐに乗り物に酔ってしまう、岡本。
彼は坂本竜馬に憧れていて、竜馬のような男になりたいと願っている。
しかし、いつもドジばかり。
今日も彼のミスで、同僚の本郷とその妻・ケイコが大喧嘩。
ついに、ケイコは家出してしまう。
竜馬の力を借りて、喧嘩の仲裁に乗り出すが、
絵画密輪事件に巻き込まれて、話は思わぬ展開に…。

caramelbox.com


いや~~面白かった!!
Whiteだけ観劇するつもりがBlack千秋楽の当日券並んじゃったよね。母も誘って。
どちらも楽しめるけど、WhiteとBlackどっちも観たら違いが楽しめる作品。

岡本が竜馬に導かれつつ成長していく実に単純明快なストーリー(ほめてます)
そこに笑いの要素をどんどん入れていくから、面白い中にちょっとほろっとくる展開が憎いな。
あとすべての役者の掛け合い(特に岡本と竜馬)がスピーディーでさくさく進むものだから、観ていて爽快。

ただ女性のキャラが私がイライラするようなキャラばっかりだったので一回目はほんっとイライラしてたけどな!!石倉とかカオリとか!!
あとわたしがどっちかっていうと岡本みたいな性格だからなのか、気づけば岡本頑張れ!って思ってた。
あんまり感情移入しないはず…と思ってたけど結構するタイプなのかもしれない。


White
岡本/三津谷亮
神戸最初のWhiteを観劇したのですが、「ああ三津谷にぴったりな役だな」って思った。
三津谷そのものなんじゃないかってくらい。
本当どこまでいくんだよってくらい優しくて、がむしゃら。
三津谷の性格が滲み出た岡本なんじゃないかな。

竜馬/大内厚雄
岡田さんの竜馬(後述)が快活な竜馬なら、大内さんの竜馬はずっしりと構えている感じ。
厳しく接するけど、岡本のことをしっかり見ているお父さんのような存在だった。

土方/陳内将
登場から「えっこの土方超美形なんですけど…!?!?!?」って心の中でびびってた。いやまあ土方は美形だけど。
歩き方から土方歳三!(たぶん正しく書くなら武士)の所作で、まさに堂々たる鬼の副長・土方歳三を演じてた。
もうさすが陳内さんだな~。陳内さんの演技には信頼を置いてる。

伸介/岡田達也
ずるくない!?最初「whiteではどれを岡田さんがするのかな~」って観てたら伸介だよ!?
片方では格好いい竜馬して、片方ではデレデレな新婚夫って…ずるくない!?ありがとう!



Black
岡本/陳内将
たぶん、普通のキャラを演じてる陳内将を初めて見ました。
TRUMPのクラウス/アレンとかゴバスのエンターとか、一癖どころか何癖あるんだよ!?って感じの役しか観てなかったので。
でも本当に頼りなくて(ほめてる)やさしい岡本だったなって。ん~なんていうか、犬みたい(?)

竜馬/岡田達也
Whiteでのしんちゃんが本当にものすごいデレデレしてたので、最初あたり岡田竜馬と岡田伸介が同一人物なのか全然わからなかったです…役者ってすごいよね。
whiteの方でも言ったけど岡田さんの竜馬は快活で息子と一緒に遊んでそうだな~っていうお父さんみたいな感じ(?)
明るく(時にはちょいちょいふざけつつ)、でもちゃんと岡本を引っ張って道を示してくれる。

土方/三津谷亮
わたしが観た前日に喉をやっちゃったのかな?ブログやTwitterを見て「大丈夫か…?」と思いましたが、完全復活!と言えないまでもしっかり1階席最後列まで声が聞こえててよかった。
三津谷が男っぽい役をしているところを見たことがなかったので(岡本も男っぽい!って感じじゃないし)、新鮮でした。かっこよかった。
キャラメルで陳内/三津谷の二人のまた新しい面が見られたんだなあって。

伸介/大内厚雄
岡田伸介があの濃さなら大内伸介はどんなんなんだろうってわくわくしてたけど…期待を裏切らなかったよね!
デレデレしててくねくねしてて、whiteの竜馬がうそでしょ~ってなっちゃった。このWキャスト、本当に面白いね…。
パンダかなにかのぬいぐるみのリュックめっちゃ似合ってた!



本郷/山田悠介
最初に山田の悠介さんを見たのがウヴァ(オーズ)で、次に見たのが去年のDライだったから…こんなにまじめな役初めて見た。
なかなか面白い役というか癖がある役っていうのかな、そういう役が多いイメージを勝手に抱いていたな~と。
今回はTHE・九州男児!って感じでかっこよかった。まあ昭和の男で、時にイラッとはなったけど(役にね)
安定した演技だな~と感心した。

時田/前山剛久
本当コミカルでかわいい!陳内岡本を犬って言っちゃったけど、こっちは本当に犬!(?)
コロコロ表情だとか声が変わって、見ていて飽きなかった。
Black観劇したときに、隣の隣にいた女の子が「かわいい…!」って声が漏れてたよ!頑張って胸の中にしまっとこうかとは思ったけど!
そういや前山さん完全に身バレというかいろいろ特定されるんじゃないそれ!?っていうアドリブもありましたが大丈夫だろうか…。



初めましてだったけど、今後も観たいな~と思ったらかなり精力的に活動を行ってるんですね…今年あと2回公演するんだもんね。
ぜひまた観たい!と思った劇団さんでした。Dボがどうとかそういうことを除いて。