きらきらカーテン

一人の病気ヲタクの備忘録

熱海殺人事件

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アイ子は、海が見たいと言ったんだ。涙こらえて言ったのさ。肩を震わせ泣いたのさ。一人で見るのが怖いから、一緒に見ようって泣いたんだ。


昨日、『patch stage EX 熱海殺人事件』を観劇してきました。
いつもだいたい一人で舞台を観る派なんだけど、今回は友人と共に!
ほんとはもう一人も誘いたかったんだけど、どうしても予定が合わなかったのが残念である…。


つかこうへいの戯曲は難しいという噂を聞き、一応予習はしました。
つかこうへいサイトで脚本が無料でダウンロードできるため、それを読んでみたのですが「???」ってなりました。
でも舞台を観てるとすーっと内容が頭に入ってきたので、多分戯曲を自分の頭で再生できなかったからかな。
いや、麻雀とかの単語がわからなかったっていうのもあるんだけどね!
あと、その戯曲を読み返しているのだけれど、山浦さんの演出が比較的戯曲に忠実だったこともあるかも。*1


そんなこんなで、当たり前だけど可視化というのは人間の思考・認識の過程において重要なものだと改めて感じました。
でもその分、自分達が演じるにはかなり難しそうなものだなと。
ちょっと趣味で演劇を友人とやり始めているので、そういう視点でも見ていました。
たとえば刑事たちが大山を立派な犯人に仕立てあげようとする不条理さとか、時代ならではの差別的表現とか、大山が殺人を犯したときの心情に戻っていく過程を理解してから演じなければいけないだろうし。
正直時代背景を現代にしていたものの、言葉が時代に合っていないものがいくつかあって、わかりやすかったといえどたまに理解できない時がありました。
patchの皆さんもお若いので、脚本を読んだときに「大丈夫?」とか思ったけどそんな心配はいらなかった…(˘ω˘)
その時代の人物になっていたと思います(演出変更などで時代背景がごちゃまぜなので、パラレルの時代と今は仮定しています)
確かに芝居はまだ粗削りかもしれないけれど、それを熱量で補ってた。


キャスト個人的に言っていくと、三好くんはSPECTERでの石舟を観て「飄飄としたキャラがハマるのでは」と思っていたので木村伝兵衛役はなかなかの当たりだったのでは。
序盤の「チャイコフスキーはお好きですかな。(以下略)」のところとかぞくぞくした。嫌みっぷりが(ほめてる)。
また、村川くんは物腰柔らかそうな印象だったけれど熊田のあのやたら熱血?暑苦しさ?をうまく表現できてたなと。
何か所か声が裏返っててのどが心配になったけれど。あとセリフがたま~に聞きづらかったのは残念。
あと脱ぐシーンあるじゃないですか熊田。スターウォーズの下着履いてて地味におもしろかったです。*2
立花さんは確か『TRINITY THE TRUMP famale』でティーチャールーシュンを演じていた方ですよね?
ようつべにアップされてる序盤では超イケメンなのに、今回はかわいらしい女性を演じていてさすがだと感心しました。
っていうか足がきれいでうっひょありがとなってなってました。ごめんなさい。


で、今回「お!」と思ったのは松井ゆうほくんです。漢字変換してないのは面倒だからです、申し訳ない。
ゆうほくんはSPECTERでしょうりくんたちと共に素晴らしい殺陣を魅せてくれたのだけど、今回は会話劇。
最初の歌いながら出てくるところも、サングラス外したあとのおどけた感じも、最後のアイ子を殺す場面の叫びも演じ切っていたなと思います。
大山がアイ子を殺すときに戻って(言い方がわからん)、彼女を殺すまでの心情の変化の演技がとても素晴らしかった。
確実にpatchの皆さんの演技がSPECTERのときより上達していたので、観たかいがあったなと。
幽悲伝が楽しみです、改めて。


ところで内容なのだけれど、大山がアイ子を殺した理由は、彼女の前では気取らなくてもいいんだ!と心を許していたのにその心を許したゆえの行動を批判されたあげく、百姓などと罵倒されて傷ついたのもあるのかな?
それと、アイ子が彼の相撲のエピソードを覚えていなかったからだよね。
前者はなんていうか見栄を張ろうとする男性のプライドみたいなものを感じたし、後者では思い出に依存する女性性を感じました。
きっと彼はアイ子とそのエピソードの中に生きていたのかもしれない。
あっ、思い出に依存する~に関しては授業で男女に記憶の性差があるよ!みたいな映像を先日見たのですがぼんやりとしか思い出せないので語弊があるかと思います。申し訳ないです。
大山金太郎という人物は男性性と女性性どちらも兼ね備えているキャラクターだと私は解釈しました。
しかしどうして男は見栄っ張りなんだろう。


最後の木村が大山を菊の花束で殴りつけるシーンは、迫力があって息を飲んでしまいました。
地面に散乱する黄色の花びらがその激しさを描いていました。
大山や片桐が去っても残るその菊のにおいが余韻を演出させていた感じがします。
小劇場だからこそできた余韻かもしれないですね。
正直言ってちゃんとまだ内容は咀嚼していないけど、最後はあーだこーだ言っていた刑事や大山が、いつの間にか大きく成長していて不思議と感動をおぼえるエンドに。
なんだか熱海の海が見たくなりました。熱海行ったことないけど。


最後にどうでもいい話ですが、物販がエレガンス氏でめっちゃ村川くんのブロマイド推されて買いました。
「村川くんのブロマイド持ってると金運あがりますのよ」って言われながら渡されたらもう爆笑するしかなかった。
隣にいた有馬くんはかわいかったです。

*1:他の演出では中の人ネタとかでけっこう笑いどころを入れているらしいので。いや笑えるところもたくさんあったけど!

*2:友人と二人で「ダースベイダーだ…」ってなりました